【ノンフィクション】『ほんとうのアフガニスタン』中村哲

基本情報

作者  中村哲

出版  2002年

出版社 光文社

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目次

世界の真実と中村哲 井上ひさし

いのちの闘い―アフガニスタンの十八年

ほんとうのアフガニスタンが知りたい

日本人にいま何ができるか

最悪の試練に

内容

18年間(2002年時)アフガニスタンで難民の診療とハンセン病の治療を始めとして様々な形で支援を続けている中村哲医師の現場報告。

印象的な場面(ページ数は記載がないため省略)

手前味噌になりますけれども、集められた募金のうち、設備投資を入れますと、九八%近くが現地に送られる。皆さん、当たり前じゃないかと思われましょうが、これは、まあ、固有名詞を出すと問題になりますので言いませんけれども、ある国際団体になりますと七割、八割が組織維持費で、二、三割しか現地に届かないというのが、普通と言えば普通の状態なのです」

「イスラムというと、日本人の知識は、たいていはヨーロッパ経由の知識です。日本人が直にそれを見て、そして『ああ、これがイスラムか』といったものは、案外少ない」

「この点がよく分かっていないと、アフガン問題の解決に、やれ『総選挙だ』などと言っても、『それは食べ物ですか?』と尋ねられるほどよく分からない。選挙よりまず飢えないための食べ物、という現地の実情にはとても合ったものじゃないということですね。‥‥医療というのは、患者と医療関係者との人間関係で成り立ちますから、患者の生活慣習を無視しては、本当の医療というのは成り立たない。相手がどういうことで悲しむのか、怒るのか、喜ぶのか、‥‥それを知ることに費やしてきた十八年間であったような気がします」

「何もない中で悪戦苦闘するというのは、たしかに感動的ではありますけれども、われわれは別段、人を感動させるために活動しているのではなく、実際により多くの病気、病人を治すために活動している」

「相手の発砲に応戦しても殺されるかもしれない。逆に何もしなくても、丸腰である故に撃たれるかもしれないが、かえって撃たれないこともある。武器を携行しないことは、携行するより勇気のいることだが、事実は人々の信頼を背景にすれば案外可能なのです」

「私はここアフガンや北西辺境州で患者を診ながら、同時に、様々なことを教えてもらっている。人さまを視る行為は、常にわれわれ自身を問う行為です。」

「皆がわっと行くところならば行かない。だれかが行くところは、だれかにまかせておけばいい。それよりだれもが行きたがらないところ、だれもがやりたがならいことをする。これが私たちの一貫した基本方針です。」

「向こうから日本に戻ってきて気になるのは、たらふく食っている日本人のほうが暗い顔をしている。しかも言葉は不平不満の羅列です。‥‥どうも人間というのは持てば持つほど不安になって顔が暗くなるらしい。何も持たない人の楽天性というのはあるのです。」

「私たちペシャワール会はタリバン政権よりも現地では古参ですから、いろんな権力を見てきましたが、公平にみて、タリバンほどクリーンな権力というのはなかった。なるほど欧米の人権活動家がアタマにくるようなこともたしかにあったでしょうし、かなり教条的な政策がありましたが、次第にそれが寛容になってきておったというのが実情だったと思います。いま現在進行しておるのは、恐るべき無秩序でありまして、一番タリバンを懐かしんでおるのは、なんと現地の国連職員です。私が知る限りにおいて、タリバンの存在がある限りにおいて、どんな国連組織も外国組織も略奪されなかった。」 

感想

2019年12月4日に亡くなられた中村医師。戦う人間には共通して大きな感情があるというのが全体を通じての感じたこと。名誉のため、金のため、立派なことを言う人間は多いが、いざとなると逃げるというのが実感こもった言葉。マスコミが描きたいストーリーを描くというのもその通りであろうと思う。

行動する人間に行動しないん人間があれこれいう資格は一つもない。アマゾンで一人賢しらな人間がレビューを書いてた。悦に入っているのだろうが、批判の一つは本書をきちんと読めば書けない批判である。