【エッセイ】『この国のかたち』(一)司馬遼太郎

基本情報

作者  司馬遼太郎

出版  1993年

出版社 文藝春秋

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目次

  1. この国のかたち
  2. 朱子学の作用
  3. ”雑貨屋”の帝国主義
  4. ”統帥権”の無限性
  5. 正成と諭吉
  6. 機密の中の”国家”
  7. 明治の平等主義
  8. 日本の”近代”
  9. 尊王攘夷
  10. 浄瑠璃記
  11. 信長と独裁
  12. 高貴な”虚”
  13. 孫文と日本
  14. 江戸期の多様さ
  15. 若衆と械闘
  16. 藩の変化
  17. 土佐の場合
  18. 豊臣期の一情景
  19. 谷の国
  20. 六朝の余風
  21. 日本と仏教
  22. 日本の君主
  23. 若衆制
  24. 苗字と性別

あとがき

内容

日本史は世界においても一級のものだと考える作者。ただしその日本史の中で、昭和の前期20年だけは異質なものである。なぜそのような非連続の時代が発生したのか。日本史を中国朝鮮との比較したり、古代からのさまざまな個所を取り上げ縦横無尽に司馬遼太郎が語る。統帥権・参謀本部。

印象的な場面

明治維新は革命ではなく、権力が移行しただけだ。という説が一時期おこなわれたが、”四民”の実情はそういうのんきなものではなかった。」(p67)

「いまの社会の特性を列挙すると、行政管理の精度は高いが平面的な統一性。また文化の均一性。さらにはひとびとが共有する価値意識の単純化。たとえば、国をあげて受験に熱中するという単純化へのおろかしさ、価値の多様状況こそ独創性のある思考や社会の活性を生むと思われるのに、逆の均一性への方向にのみ走りつづけているというばからしさ。これが、戦後社会が到達した光景というなら、日本はやがて衰弱するのではないか。」(p123)

「日本とは、どうも両極端らしい。」(p132)

感想

『昭和という国家』と重複する部分がいくつかある。テーマからして仕方ないが。

なるほどなあと思うこと多し。ところで、作者が日本の宗教を語る時、当然仏教を語るが、富永仲基のいわゆる大乗非仏説をよく取り上げる。『昭和という国家』では大天才とまで書いていた。そのうえで、鎌倉仏教の中で親鸞をほめたたえる。

明智光秀についても触れられている。司馬遼太郎の著作でもいくつか触れているが。

本書での評価としては、北条早雲に次ぐ民政家として光秀をあげる。そして丹波において当時としては理想に近い封建政治をしいた、信長の意向に可愛いくらい鈍感だったと。
本能寺の変については、信長の中央集権構想と封建主義の光秀。また日本史上、独裁者に一番近い立場にいたのが信長で結果としてそうなれずに死んだという流れ。日本史は独裁者を嫌う、と。