【絵本】『でるくいさん物語』桂早眞花

基本情報

作者  桂早眞花

出版  2015年

出版社 PHP研究所

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内容

出る杭は打たれるけど

感想

作者のいいたいことは、本の説明文に全部出ている。そしてそれは正しいことだと思う。問題はそれがこの絵本で表現できているか。「大人のための絵本」とのことなので、大人であれば出る杭は打たれるということは誰でも知識としても知っているし、実感している人も多いだろう。そうすると本書ではほとんで説明がないことは問題ないのだろう。

ただし、この絵本には二つ足りない描写があると思う。

一つは、かなづちにたたかれる描写はあるが、横にいる連中からのひっぱりの描写。有名人やSNSで世間を相手にする場合は別だが、私たちの人生経験上の出る杭はうたれる場面というのは横にいる連中からの負の感情によるものが多いと思う。本書で横並びの連中はただ叩かれたことを喜んでいるだけで叩くこととは関連付けられていない。テーマが「打たれる」だから打たれることしか描いていないのだろうけど、横の奴にひっぱらせるか、横の奴の意図で金づちが動いている表現が欲しかった。

もう一つは、「出るくいさん」の意志を描いてほしい。本書ではタンコブが伸びて壁を突き破っている。これは意志ではない。最初は自ら壁を突き破ろうとしている意志がはっきりとわかるが、後半はたんこぶがもっぱら壁を破ろうとしているように見える。作者は勇気を出すことを訴えたいのだから、ここはもう一工夫いると思う。あと、勇気を出すことは痛みを伴うことがあるのだから、くいさんの表情ももう一工夫ほしい。