『三国志』横山光輝 49巻 出師の表

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基本情報

作者  横山光輝

出版  1986年

出版社 潮出版社

目次 

  • 烏戈国
  • 藤甲蛮
  • 敗走十五度
  • 孟獲心服
  • 凱旋
  • 檄文
  • 仲達追放
  • 出師の表

あらすじ

(7回目の捕縛そして)本拠地を失い、味方も失った孟獲ははるかかなたの兀突骨の下に落ち延びた。兀突骨は刀も矢も通さない無敵の鎧を着る軍団を率いていた。引き上げようとする声もある中、孔明は無敵の鎧の弱点を見抜き、魏延に15回連続わざと戦いに負けさせたうえで火攻めを用いる。兀突骨ら3万人は全員焼け死に、孟獲もついに心服した。

魏では曹丕があっけなく病死し、曹叡が跡を継ぐ。司馬懿が蜀に備える動きをしたことに危機感を覚えた孔明と馬謖は離間の計を用い、司馬懿は謀反の罪で一切の感触を奪われた。これを好機とし、孔明は有名な出師の表を認め、ついに北伐にうごきだす。

登場人物

孟獲・孟優・帯来・祝融・兀突骨・魏延・呂凱・馬岱・趙雲・張嶷・馬忠・馬超・曹丕・曹真・陳羣・司馬懿・曹叡・王朗・華歆・馬謖・曹休・劉禅・王平・呂儀・廖化・張嶷・鄧芝・劉琰・呉懿・高翔・遠綝・

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印象的な場面

孔明「事を成しかけて終始まっとうしないほど大きな罪はない」「このために命を落とした兵の数はどれほどか・・・ここで引き揚げてはその霊になんといってわびる」(p71)

趙雲「黄河の水がひとたびあふれればたちまち何万人の人命を奪います」「だがそのあと再び穂は実り人は増していきます」「黄河の洪水は天意あるのみで人意の徳はありませぬが丞相は蛮土に王化の使命がございましょう」「これはその使命の過程でおこったこと だがこのあとこの蛮土に徳を植え残しておかれれば後々この蛮土は殺戮と略奪のない平和な大地となりましょう それほど気に病まれますな」(p80~81)

感想

孟獲の七縦七擒だったり、饅頭の由来だったり、馬謖の優秀さであったりあるが、やはり出師の表である。名文中の名文といわれ、これを読んで泣かない人間は・・・といわれるほどの文章。時を経ても語り継がれるもの、人の心を打つものというものは、つくった人間の心・一念がすさまじかったのだろうと思う。以下は出師の表の読み下し文。49巻巻末、「絵本通俗三国志」より

臣亮もうす。
先帝創業いまだ半ばならずして、中道に崩殂ほうそせり。いま、天下三分し益州は疲弊す。これ誠に危急存亡のときなり。しかれども待衛の臣、内に懈らず、忠志の士、身を外に忘るるものは、けだし先帝の殊遇を追うてこれを陛下に報いんと欲するなり。誠 に宜しく聖聴せいちょうを開張し、以て先帝の遺徳をあきらかにし、志士の気を恢弘かいこうすべし。宜しく妄りに自ら菲薄ひはくし、を引き義を失い、以て忠諌の路を塞ぐべからず。宮中府中はともに一体となり、陟罰ちょくばつ臧否ぞうひするに、宜しく異同あるべからず。もし奸をなし科を犯し、及び忠善をなすものあらば、宜しく有司に付して、その刑賞けいしょうを論じ、以て陛下平明の治をあきらかにすべし。宜しく偏私へんしして、内外をして法を異にせしむべからず。

侍中・侍郎郭攸之・費褘・董允らは、これみな良実にして志慮忠純なり。ここを以て、先帝簡抜かんばつして以て陛下に遺せり。愚おもえらく宮中の事、事大小となく、悉く以てこれにとい、しかる後施行せば、必ずやよく闕漏けつろう裨補ひほし、広益するところあらん。将軍向寵は、性行淑均しゅくきん、軍事に曉暢ぎょうちょうし、昔日に試用せられ、先帝これを称して能といえり。ここを以て衆議寵を挙げて督となす。愚おもえらく営中の事、事大小となく、悉く以てこれにとえば、必ずよく行陣を和睦し、優劣、所を得せしめん。

賢臣を親しみ小人を遠ざけしは、これ先漢の興隆せしゆえんなり。小人を親しみ賢人を遠ざけたるは、これ後漢の傾頽けいたいせるゆえんなり。先帝在しし時、臣とこの事を論ずるごとに、いまだかつて桓霊に嘆息痛恨せずんばあらざりき。侍中・尚書、長史・参軍は、此れ悉く貞亮ていりょう死節の臣なり。願くは陛下これを親しみこれを信ぜよ。即ち漢室の隆、日を計えて待つべし。

臣はもと布衣ほい、みずから南陽に耕し、いやしくも性命を乱世に全うし、聞達ぶんたつを諸侯に求めざりき。先帝、臣の卑鄙ひひなるを以てせず、猥りに自ら枉屈おうくつし、三たび臣を草盧の中に顧み、臣に諮るに当世の事を以てせり。
これによりて感激し、遂に先帝に許すに駆馳くちを以てす。後、傾覇けいはにあい、任を敗軍の際に受け、命を危難の間に奉ず。爾来じらい二十有一年なり。先帝、臣の謹慎なるを知る。ゆえに崩ずるに臨みて臣に寄するに大事を以てせり。命を受けてより以来、夙夜しゅくや憂歎ゆうたんし、付託の効あらず、以て先帝の明を傷けんことを恐る。ゆえに五月を渡り、深く不毛に入りぬ。今、南方すでに定まり、兵甲すでに足る。まさに三軍を奨率しょうすいし、北のかた中原を定むべし。こいねがわくは駑鈍どどんつくし、姦凶を攘い除き、漢室を興復こうふくし、旧都に還さん。これ臣が先帝に報いて、陛下に忠なるゆえんの職分なり。斟酌損益し、忠言を進め尽くすに至りては、則ち攸之・褘・允の任なり。願わくは陛下、臣に託するに討賊興復の効を以てせよ。効あらずんば則ち臣の罪を治め以て先帝の霊に告げよ。
(もし徳を興す言無くんば即ち)攸之・褘・允らの慢を責めて以て其の咎をあらわせ。陛下もまた宜しく自ら謀りて以て善道を諮いはかり、雅言がげん察納さつのうし、深く先帝の遺詔いしょうを追うべし。臣、恩を受けて感激にえず。今、まさに遠く離るべし。表に臨んで涕雫ち、いうところを知らず。

横山光輝三国志49巻【三行でまとめてみた】【888回】