『小説河合継之助 武装中立の夢は永遠に』童門冬二

基本情報

作者  童門冬二

出版  1994年

出版社 東洋経済新報社

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目次

まえがき
燕雀鴻鵠
鶏群一鶴
堅忍不抜
万古長青
大処着墨
幕末動乱
局外中立
王道政治
地方分権
大政奉還
藩政改革
一念通天
料事如神
王政復古
多岐亡羊
飛竜乗雲
北越戦争
武装中立
中天彷徨
あとがき

ざっくりと内容

幕末、越後長岡で改革を断行し富国強兵を行い、武装中立を願った蒼き龍である河合継之助のお話。強情な性質の幼いころ、変わり者扱いをされ続け老人たちに煙たがられていたこと、師と出会い王道政治を実現しようと志したこと、最後は会談が決裂し、ガトリング銃をぶっぱなす。

印象的な場面

継之助は藩政改革について方谷に学びにきた。ところが、かれが最初に教えられたのは「まず自分自身の人間改革」であった。(p76)

人間の中で、治者や為政者の立場に立つ者は、必ずこの五つの徳(恩・良・恭・倹・譲)を備えていなければならない。そうでなければ、いかにその人間が口先だけうまいことをいっても、行うことは王道政治だとはいえない。行う者に徳が備わっていなければ、民に対して行う政治に仁と徳が保たれているはずがない」(p70)

継之助の勉強の仕方は必ず「書写」する。漫然と本を読むのではなく、自分で書き写すのだ。書き写すという努力をしているうちに、そのテキストに書かれた文章が頭の中に染み込んでくる。(p31)

「人間は、何のためにこういうことをするのか、という説得だけでは納得しない。そのことをいう人間の発散する力が、左右するのだ」ということは、いままでの仕事でいやというほど感じてきた。他人を説き伏せ、協力させる時に最も必要なのは、単にその内容を納得させるかだけではない。言い出した側に、どれだけの熱情とやる気があるか、さらに指導者としての魅力があるかが大きく左右する。(p204)

感想

分量的に、改革に取り組むまでの記述が多く、改革が描かれ、最後はあっさりという印象。この作家の特徴で、わかりやすさを優先するためか同じ記述が何度か書かれる。作者がいいたいことははっきりしている、改革の壁、王道政治と覇道政治、率先垂範。ただし、河合継之助そのものを知りたいと思う場合は、少々物足りない。王道政治というのは民衆のため、覇道政治というのは権力者のための政治。