『モンテ・クリスト伯』⑤ アレクサンドル・デュマ

基本情報

作者  アレクサンドル・デュマ 訳 山内義雄

出版  岩波書店 

出版年 1956年

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目次

六六 結婚政策
六七 検事総長室
六八 夏の舞踏会
六九 情報
七〇 舞踏会
七一 パンと塩
七二 サン・メラン侯爵夫人
七三 約束
七四 ヴィルフォール家の塋域
七五 調書
七六 アンドレア・カヴァルカンティの売り出し
七七 エデ
七八 ジャニナ通信
七九 レモネード
八〇 告発

あらすじ

ダングラールは自分の娘を財産があると信じているアンドレアと結婚させようとし、そのために現在の許嫁の実家、フェルナンの悪事を探ろうとする。ヴィルフォールはかつて子どもを産ませたダングラール夫人と密談、モンテクリスト伯の悪意に気付く。彼は、ブゾーニ司祭とウィルモア卿にモンテクリスト伯の情報を聞き安心する。一方で、ダンテスは避け続けていたメルセデスと舞踏会で二人きりで悲しみあふれる会話をする。

ヴァランティーヌとマクシミリヤンは結ばれたいと願いつつも、許嫁のフランツとの結婚が進められる。そこでヴァランティーヌの祖父ノワルティエが、真実を告げる。フランツの父を殺したのは自分であると。さらにヴィルフォール家では、毒による死が次々と人を襲っていた。容疑者はヴァランティーヌであった。

主な登場人物

  • モンテクリスト伯‥‥ブゾーニ司祭でありウィルモア卿。
  • ダングラール‥‥段々損が大きくなってくる。
  • メルセデス‥‥モンテクリスト伯と悲しい会話をする。
  • フェルナン‥‥裏切りの事実が新聞報道される。
  • アルベール‥‥父の名誉を汚されたと決闘を申しこむ。
  • フランツ‥‥ヴァランティーヌの許嫁だったが、父を殺した犯人を知り破談。
  • マクシミリヤン‥‥ヴァランティーヌと結ばれず死を選びそうになるが。
  • ドブレー‥‥大臣秘書官。ダングラール夫人と不倫。
  • ボーシャン‥‥新聞記者。アルベールに決闘を申し込まれる。
  • ルノー‥‥アルベールの友達。マクシミリヤンを紹介する。
  • モルセール夫人‥‥メルセデス。モンテクリスト伯と意味深な会話をする。
  • ベルツッチオ‥‥使用人。過去にヴィルフォールを刺す。
  • ヴィルフォール‥‥検事総長。次々と周囲の人間が毒殺される。
  • ベネデット‥‥アンドレア・カヴァルカンティ。ダングラールの娘に近づく。
  • エデ‥‥ギリシャの王の娘。
  • ヴァランティーヌ‥‥ヴィルフォールの娘。マクシミリヤンと恋。フランツーの許嫁。祖父と唯一意思疎通できる。
  • エドゥワール‥‥ヴィルフォールの子、ヴァランティーヌの母違いの弟。くそがき。
  • ユージェニー‥‥ダングラールの娘。アルベールの許嫁。
  • ノワルティエ‥‥ヴィルフォールの父、ヴァランティーヌを愛する。口もきけないしうごけないが、意思表示はできる。フランツの父と決闘して殺害。

印象的な場面

「それを見ていた伯爵は、下手な画工が、廃墟といえば必ず描く、例のべっとりとした色の月を思い出さないではいられなかった」(p15)

「あなたは、まさに思い上がった、きわめて利己主義な方なんですよ!‥他人の自尊心は平気で斧で断ちきりながら、いったんこちらの自尊心となると、針でちょっとさされたくらいでも悲鳴をおあげになるのですから。」(p66)

「戦う意志を持った人であったら、大事の時を一刻たりともむだにせずに、運命から打撃を受けると、たちまち投げ返してやるものです。あなたは、不幸を相手に戦う意志をおもちですか?」(p160)

感想

すべてがモンテクリスト伯の手のひらで動いていく。復讐の計画は着々と進んでいく。ヴィルフォールが、モンテクリスト伯の変装姿である二人にモンテクリスト伯のことを確かめて安心するのは滑稽だが、やはり大変な演技派である。

だが、正確には描かれていないが、メルセデスとの会話でメルセデスは直感的に私たちは友だちでしょうと訴えかける。子のアルベールを含めて。母としてのメルセデス。そして決してメルセデスの家の食事では強いて勧められても水一杯飲まないモンテクリスト伯。分厚い仮面をかぶったダンテスを見抜いたのはモレルとメルセデスのみ。

マクシミリヤンは、恋に破れたと思うと自殺を図ろうとまでした。名誉のためにと。それもまたすごい話だ。