『三国志』5 宮城谷昌光

基本情報

作者  宮城谷昌光

出版  2010年

出版社 文藝春秋

スポンサーリンク

目次

  • 孫策
  • 素志
  • 新都
  • 張繍
  • 僭号
  • 高山
  • 下邳
  • 逐勝
  • 密詔
  • 対決
  • 官渡
  • 鄴県
  • 後漢と三国の仏教事情3

ざっくり内容

孫策は袁術の下から離れ江東江南をたちまちに平定する。しかし、英雄豪傑を殺害しつづけたため、刺客の手にかかり死亡。献帝は呂布か袁術に庇護してほしかったが、結局曹操が迎え入れる。董承は権力を握りたいため曹操殺害を決意。曹操は呂布を滅ぼし、袁術を滅ぼし、張繍を降し、袁紹を官渡で破る。つかみどころのない劉備は、逃走に逃走を重ね、劉表の下に。

印象的な場面

「人が行動するときは、問うてはならない。できる、と断定すべきである」(p24)

「最大の敵とは、憎悪すべき対象であるにはちがいないが、みかたをかえれば、その存在は天が与えてくれた師資であったかもしれない。公孫瓚は劉虞を憎みぬいて斃したが、その後、批判者を失ったがゆえに人格的に成長しなくなった。それどころか精神の核が融けたように、恣心をさらけだした」(p45)

「人の考えかたには大差がない。大差が生じるのは、決断においてである。」(p62)

「きき手の質が高ければ、諫言や直言をためらう必要がなく、微妙なことを述べても解説しなおさなくてすむ。」(p82)

「学問の力とは、けっきょく人を知る力である。」(p101)

「『孫氏』の語句を引用すること自体、郭図が兵略家ではないあかしのようなものである」(p292)

「劉表は漁夫の利を考えているのだろうが、あれは戦国時代の説客がおもいついた詭弁にすぎず、実際は中立ほど危険な判断はない。」(p317)

「情念の世界に籠っている者とは対話が発展しないし、深化もしない」(p382)

感想

曹操は献帝を迎えるまで勤皇家であるような描写であるように感じていた。董承は自らの権力欲のため曹操を除こうとしたことはわかるが、献帝が曹操殺害を決意する理由がいまいち本書ではわからない。

袁術も袁紹も共に有能な人間が家臣としていたし、適切な意見も何度も言われてきた。仮にその通りに実行すれば曹操にとってかわることは容易であった。にもかかわらず、彼らは怠惰がゆえに、決断ができぬゆえに、感情にとらわれるゆえに、みじめに滅んでいった。いつの時代も優秀な人間は多い。ただトップがそれを使いこなせるかどうかで国の行く末は大きく変わる。

劉備は相変わらず得体のしれない存在。